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大八車の通行規制? 銀座の歩行者天国で見つけたレア標識がシブすぎる

【毎月20日更新】世にも奇妙な道路標識 第4回:君は「単独大八車」を見たか

◆銀座で見かけた激レア標識「単独大八車」

 前記のように、「通行止め」標識にはトラック・バス・自動車・バイク・自転車・軽車両などを対象としたものがある。2種類をまとめて規制する標識には、理屈上は多数の組み合わせが考えられるが、実際に存在するのは数パターン程度に限られている。

写真を拡大 組み合わせ通行止め標識の例

写真を拡大 陸橋入り口にある「軽車両及び自転車通行止め」

  わりによくあるのは、軽車両と自転車を一緒に規制する標識で、陸橋などに設置されているケースが多い。たいていの場合で陸橋は交通量が多く、路肩が狭いため、こうした低速の軽車両を規制しているわけだ。軽車両というのは日常あまり使わない言葉だが、法律ではエンジンのない車両全般を指し、リヤカー(いわゆる大八車)、馬車、牛車、人力車などが含まれる。

 この、軽車両だけを規制する標識(通称「単独大八車」)は、激レアの範疇に入る。この現代社会で、大八車や馬車の進入を規制する必要などあろうか。まして、自転車は通ってもいいが軽車両はダメというケースなど考えにくい。

 しかしこの「単独大八車」も、あるところにはあるのが日本の道路の奥深さだ。しかもそのありかが、東京の銀座通りだというのがまた面白いところである。

写真を拡大 花の銀座の大八車

 写真の標識は、銀座通りとみゆき通りが交わるところにあったものだ。銀座まで来て撮るものがこれかといった感想もあろうが、筆者の関知するところではない。レア品ゲットの感動があるのみである。

 なんでまたこんなところにこんなものがと思うが、察するに銀座の歩行者天国から、屋台などがみゆき通りへ入ってこないよう規制しているものと推測される。こうして思わぬものが思わぬところで見つかること、そして意外なものにはたいてい理由があるのが、この趣味の面白さなのである。

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佐藤 健太郎

さとう けんたろう

1970年兵庫県生まれ。東京工業大学大学院理工学研究科修士課程修了。大手医薬品メーカーの研究職を経て、サイエンスライターとして独立。文系の読者にもわかりやすい解説で定評があり、東京大学大学院理学系研究科の広報担当特任助教として東大の研究実績を対外発信する業務も担当した。『医薬品クライシス』(新潮新書)で2010年科学ジャーナリスト賞、2011年化学コミュニケーション賞を受賞。著書はほかに、『「ゼロリスク社会」の罠』『化学で「透明人間」になれますか?』(ともに光文社新書)、『炭素文明論』(新潮新書)、『ふしぎな国道』『世界史を変えた薬』(ともに講談社現代新書)などがある。


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